2021.09.14 | 火災保険
「火災保険でリフォームができる」は間違い?火災保険の正しい知識を徹底解説!

今回の記事では、火災保険を使ってリフォームできるのかということについて解説していきます。最初に結論を言ってしまうと、火災保険でリフォームはできません。というのも、通常のリフォームと火災保険の中で言うリフォームでは意味が違ってくるからです。
なので、火災保険の正しい知識を持ち合わせていないと大きな勘違いをしてしまうかもしれません。そこで、本記事では火災保険でのリフォームの意味や火災保険の適用内容について徹底解説していきます。
他にも、火災保険が適用されないケースや火災保険に関するよくあるトラブルと対処法についても紹介。火災保険の正しい知識が身に付く内容になっているので、ぜひ参考にしてください。
Contents
火災保険でリフォームができる?
冒頭でも紹介した通り、火災保険でリフォームはできません。火災保険で補償してくれるものは、”リフォーム”ではなく”修理”であることを覚えておきましょう。
「リフォームと修理ってどう違うの?」と思った方もいるかもしれません。そこで、ここからはリフォームと修理の2つの違いを紹介していきます。まずはリフォームと修理の違いを明確にして、火災保険で大きな誤解を生まないように注意しておきましょう。
リフォームと修理の違いは?
住宅の見栄えを良くしたり住みやすくしたりと、ゼロからプラスにすることを”リフォーム”と言います。これに対して、”修理”とは何らかの原因で建物が損傷を受けた時に直すこと。つまり、マイナスからゼロにすることが修理です。
たとえば、「部屋の内装を変えたい」「システムキッチンにしたい」などの要望はリフォームにあたります。そのため、この場合は保険金は下りません。火災保険の適用内容で損傷を受けた場合、損害箇所を直すという目的であれば修理にあたるので火災保険の適用内ということ。
なので、火災保険でリフォームはできないということになります。ただし、火災保険は修理という意味でリフォームという言葉が使われていることもあるので注意してください。
雪害による被害も請求できる?火災保険の適用内容を紹介
ここからは、火災保険が補償してくれる適用内容について紹介していきます。火災保険が補償してくれる被害は火事だけと思っている方も多いかもしれません。
実は、火災保険には火事以外の様々な被害も補償してくれる幅広い適用範囲が設定されています。では、そんな火災保険が適用される内容はどのようなものなのか。具体的な補償範囲と被災例を下の表にまとめたので、参考にしてみてください。
火災保険の補償範囲 | 被災例 |
火災 | 火事で家が燃えてしまった。 |
落雷 | 落雷で家電製品や取り付けてあるTVアンテナが壊れてしまった。 |
破裂・爆発 | ガス漏れで家が爆発してしまった。 |
風災 | 台風や暴風で窓ガラスが割れてしまった。 |
雹災(ひょうさい) | 大粒の雹が降って屋根に穴が空いてしまった。 |
雪災 | 雪の重みで屋根が壊れてしまった。 |
水濡れ | 住宅の上の階から水漏れが発生して床が浸水してしまった。 |
水災 | 近くの川が氾濫して家の床まで浸水してしまった。 |
騒擾・集団行為にともなう暴力行為 | デモや集団暴行で住宅の一部が壊れてしまった。 |
建物外部からの物体の落下・飛来・衝突 | 家に自動車が突っ込んできたり、暴風で家に物体が衝突して窓ガラスが割れてしまった。 |
破損・汚損 | 家具を運んでいる時に壁にぶつけて穴を空けてしまった。 |
火災保険の適用内容をちゃんとしているという方は少ないので、しっかりと把握しておきましょう。
なお「壁に穴を空けてしまった…火災保険が修理費用を補償してくれるって本当?」では、壁に穴が空いてしまった場合い火災保険が使えるかを解説しています。興味がある人は、併せてご覧ください。
地震による被害は火災保険の適用外になる?
災害の中でも、地震による損害は火災保険の適用外になるということに注意してください。これは、地震による被害は損傷の範囲が広いため保険会社が対応できなくなるからです。なので、地震による損害も補償してもらいたい場合は、地震保険に加入しましょう。
地震保険は火災保険のオプションとして加入できる保険です。また、地震保険は半公的保険になるので、どの保険会社でも基本的に補償内容や補償金額は変わりません。
火災保険が適用されないケース
ここからは、火災保険が適用されないケースについて紹介していきます。火災保険を適用させるためには、いくつかの条件を満たさないといけません。この条件を1つでも満たさなければ、火災保険は適用されないということ。
ここでは、火災保険が適用されない2つのケースについて紹介していきます。火災保険は申請すれば必ず通るものではないということを覚えておきましょう。
経年劣化による損傷
火災保険が適用される内容は、あくまでも災害による損傷。なので、経年劣化が原因の損傷は火災保険が適用されないので注意してください。ただ、元々経年劣化が進んでいて自然災害が原因となって破損したのであれば、火災保険が適用される可能性があります。
また、損傷の原因が自然災害なのか経年劣化なのかについての判断は、素人では難しいもの。なので、自宅の損害は火災保険が適用されるのか気になる場合は、業者に相談してみてください。業者による現地調査の結果、自然災害が原因だと判断されれば火災保険が適用されるかもしれません。
被害を受けて3年以上経過している
災害による損傷を受けて3年以上経過している場合でも火災保険は適用されません。火災保険の請求期限は、被害を受けて3年以内と決まっています。請求期限がある理由は、被害を受けて3年以上経過すると、損害原因が自然災害か経年劣化か判断が難しくなるから。
また、請求期限ギリギリに火災保険を申請したとしても、災害による損傷なのか判断が難しくなるので、審査が通りにくくなります。なので、被害を受けたら早めに火災保険を申請するようにしましょう。
火災保険を使ったリフォーム(修理)の手順
ここからは、火災保険を使って家をリフォーム(修理)する際の手順について紹介していきます。火災保険を申請しようと思った時には、業者や保険会社とのやり取りが必須。スムーズに対応できるように、ここでしっかりと流れを把握しておきましょう。
火災保険を使った修理手順は大きく4つ。それでは、それぞれ順を追って説明していきます。
火災保険を使った修理手順1:修理業者に依頼して見積もりをもらう
まずは、修理業者に依頼します。修理業者に損害箇所をお伝えして、見積もりを出してもらいましょう。修理業者の中には悪徳業者も混じっているので、親切で丁寧な業者を選ぶようにしてください。
悪徳業者と契約してしまうと、思いも寄らないトラブルに巻き込まれる可能性があります。なので、きちんとインターネットや友人の紹介などを使って業者を選ぶようにしましょう。
火災保険を使った修理手順2:保険会社に連絡・書類の提出
修理業者の見積もりを出してもらった後は、保険会社に連絡をします。その際に損害箇所など細かく聞かれるので、事前に準備しておきましょう。
保険会社への連絡後、自宅に申請に必要な書類が送られてきます。送られた書類に必要事項を記入して、郵送で保険会社に返送してください。
火災保険を使った修理手順3:保険会社による現地調査
保険会社に書類が届くと、次に保険会社による現地調査が行われます。現地調査する調査員は、派遣会社から派遣されたプロの鑑定士。この時に、修理業者による見積もりが正当なものであるかプロの目によって判断されます。
現地調査の段階で経年劣化だと判断された場合は、火災保険は適用されません。また、保険会社との信頼関係がある業者が修理を行う場合は、現地調査が省略される可能性もあります。
火災保険を使った修理手順4:入金・着工
現地調査が終わると、調査員が報告書をまとめて保険会社に提出します。その後、保険会社による審査が始まり、無事に通れば指定の口座に保険金が振り込まれ、火災保険の請求は完了。
保険金が振り込まれたら修理業者に連絡をして着工日の調整を行い、修理完了後にお金を支払います。必ず保険金の入金を確認してから業者と契約するようにしましょう。
悪質業者に注意!火災保険のリフォーム(修理)トラブルと対策法を紹介
ここからは、火災保険に関するよくあるトラブルについて紹介していきます。先ほども軽く触れましたが、火災保険の申請で修理業者に頼む際は悪徳業者に気をつけなければなりません。
ここでは、実際にあった悪徳業者とのトラブルとその対処法について紹介していきます。自分がトラブルに巻き込まれないためにも、しっかりと把握しておきましょう。
トラブル1:違約金
業者が作成した見積もりを保険会社に提出したところ保険金が下りず、解約したいと伝えると高額な違約金を要求されたというケースがあります。火災保険は申請すれば必ず保険金が受け取れるというわけではありません。
業者側に保険金が請求できると言われても、実際は受け取れないという可能性も十分にあります。そのため、事前にきちんと說明してくれる修理業者を選び、契約書をよく読みましょう。
その際に、業者側に少しでも不信感を感じるのであれば契約してはいけません。契約してしまうと業者側は「契約書に書いてあります。最初にお伝えしたはずです。」と主張し支払いを迫ってくることもあります。そうなると渋々高額な料金を支払う可能性もあるので注意してください。
トラブル2:虚偽の報告
明らかに経年劣化による損傷であるにも関わらず、自然災害による損傷で保険会社に申請させようとする業者もいます。虚偽の報告をしてしまうと、保険の契約の解除や保険金の返金を保険会社側から求められてしまうので絶対に虚偽の報告はしてはいけません。
最悪の場合、詐欺罪(刑法246条1項)で刑事罰に問われてしまうリスクがあります。なので、修理業者に虚偽の報告をさせる誘いがあったとしても絶対に乗ってはいけません。
なお、火災保険を使ったリフォームのトラブルについては「火災保険でリフォームができるって本当?見積もりやトラブルについて解説」でも詳しく解説しています。興味がある人は、併せてご覧ください。
火災保険が補償してくれるものは「リフォーム」ではなく「修理」
冒頭でもお伝えしましたが、火災保険が補償してくれるものは修理です。リフォームはできないということをしっかりと覚えておきましょう。また、業者に依頼する際はトラブルに遭わないためにもきちんとした業者を選ぶ必要があります。
契約する際に修理業者に少しでも不信感を感じるようであれば、契約はおすすめしません。不安であれば、インターネットで調べたり友人に相談したり、あるいは本記事で火災保険の知識をおさらいしてみてください。
基本的に、優良業者を選べば保険金は受け取れる可能性があります。自宅に火災保険が適用される損害箇所がないか、改めて確認してみてください