2021.09.16 | 火災保険
屋根の葺き替え工事にかかる費用の相場っていくら?火災保険や補助金が使える?

今回の記事では、屋根の葺き替え工事にかかる費用の相場などについて徹底解説していきます。一軒家に住んでいる方は、屋根は何かとトラブルが起きることもあるため気にかけていることも多いのではないでしょうか。また、屋根と言ってもいくつかの種類があり、それぞれ違った特徴を持っています。
そこで本記事では、屋根材ごとの特徴と葺き替え工事に適した時期も紹介。自宅の屋根と同じものを見つけて、ぜひ照らし合わせてください。他にも、屋根の葺き替え工事の工程や自宅の屋根が葺き替えが必要かどうかチェックするためのポイントについても紹介します。また、屋根の葺き替え工事には火災保険が使えるという話を聞いたことがあるという方もいるかもしれません。
そんな方の疑問を解決するためにも、本記事では火災保険に関する内容についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
Contents
屋根の葺き替えとは
屋根の葺き替えとは今の取り付けてある屋根を解体して新しい屋根を設置する工事のことを指しています。ただ、似たような手法で重ね葺き(カバー工法)もあるので注意してください。まず、この工法との明確な違いを以下に解説するので理解しておきましょう。
重ね葺き(カバー工法)との違い
屋根の葺き替え工事については先程紹介しましたが、既存の屋根を解体して新しい屋根を取り付けること。一方、重ね葺きは今の取り付けてある屋根を撤去することはありません。
その代わりに新しい屋根を今の屋根に覆う形でリフォームすることを指します。つまり、葺き替え工事が丸ごと撤去して全く新しいのに付け替えるのに対して、重ね葺きは今の屋根を残して工事することを指すので覚えておきましょう。
屋根を葺き替え工事する際にかかる費用の相場
一般的な住宅の屋根を葺き替えする場合にかかる費用の相場は、だいたい120万円〜200万円と言われています。この中の内訳を解説すると、新しい屋根の設置と購入費用で45万円〜90万円かかります。
また、下地補修で20万円〜30万円、既存の屋根の撤去費用で12万円〜20万円です。工事日数も長く、約7日〜約15日かかります。大規模な工事になるため、葺き替え工事をする場合は余裕をもって行いましょう。
さらに、工事に関する費用はこれだけではありません。それを以下に解説するので見ていきましょう。
屋根の葺き替え工事にかかる費用の内訳
屋根の葺き替え工事にかかる費用は「屋根の面積」と「屋根材の選択」になります。また、屋根の形状や種類でも変化しますが、くわしい内訳を以下の表にまとめたので葺き替え工事をする際の参考にしてみてください。
工事内容 | 費用相場 |
足場設置 | 700円〜1000円/㎡ |
養生 | 200円〜300円/㎡ |
既存屋根の撤去 | 1200円〜2000円/㎡ |
下地の補修 | 2000円〜3000円/㎡ |
防水シートの設置 | 600円〜1000円/㎡ |
新しい屋根材の材工費 | [和瓦]9000円〜1万5000円/㎡ [スレート]4500円〜6500円/㎡ [ガルバリウム鋼板]6000円〜9000円/㎡ |
棟の設置 | 2000円〜3000円/m |
軒先、ケラバの設置 | 1500円〜2000円/m |
アスベストの撤去 | 60万円〜200万円/戸 |
アスベストとは
アスベストとは石綿と呼ばれる天然の鉱物繊維の総称のことを指していて、近年アスベスト屋根のリフォームが増えてきました。アスベストは耐久性に優れた素材ではありますが、経年劣化で撤去する必要も出てきます。
撤去した後は新しいアスベストを入れて葺き替え工事を行いますが、アスベストが入っていない屋根は台風で剥がれる可能性が高く不具合が増えているので注意してください。
屋根の葺き替え時期【素材別】
冒頭でも紹介したように、屋根には様々な素材があります。それぞれ屋根の特徴と葺き替え時期が異なるので、自宅の屋根がどのような素材が使われているのか確認しておきましょう。
そこで、ここからはそれぞれの屋根材の特徴と葺き替え時期の目安を紹介していきます。自宅の屋根の素材を把握できたら、葺き替え時期を考慮して工事を進めることがおすすめ。ぜひ、参考にしてください。
スレート屋根
スレート屋根は天然で高価な岩から作られた屋根材であり、化粧スレートと言われるセメントと繊維を混ぜられて作られた屋根です。安価でありながらそこそこ耐久性が良く、重さも軽いというバランスの取れた屋根材と言われています。
また、カラーバリエーションが豊富でありデザイン性も優れているのが特徴。葺き替え時期の目安としては20年ほどと言われています。ただ、風や地震の影響を受けやすく、2005年以降のスレート屋根はアスベストが使われていないことが多く、寿命が短くなる可能性もあるので注意してください。
ひび割れが多かったり白っぽくなる現象が多かったりする場合は寿命が近づいている可能性があるので、その時は業者に相談してみましょう。
瓦屋根
瓦屋根はとにかく耐久性に優れていて、30年に一回のメンテナンスで済むぐらいの丈夫さが特徴。中には寿命が50年まで持つ瓦屋根もあります。また、遮音性や断熱性もあるため寒い時期には大変心強い屋根となっています。初期費用が高いことがネックではありますが、長く使用していきたい方にはうってつけの材質。
ただ、瓦屋根は重さがあるため、地震に弱いという弱点があります。なので、地震が起きやすい地域に住まわれている方にはあまりおすすめはしません。瓦が割れていたりズレていたりと何らかの損傷が見つかった場合は雨漏りになる可能性があるので、もしそのような損害箇所を見つけたら早めに業者に相談しましょう。
ガルバリウム屋根
ガルバリウム屋根はアルミと亜鉛で作られた屋根です。錆びにくいのが特徴的で、重さも日本瓦の6分の1ほど。また、耐震性にも優れていて丈夫な点も挙げられます。耐久性も良く、メンテナンスの目安としては20年〜50年に一回で大丈夫とされています。
ただ、金属であるため水平の屋根にはあまり向いていません。というのも、水平の屋根の場合は雨水が溜まってしまいガルバリウム屋根でも錆びてしまう可能性があるから。なので、できる限り雨水を弾く形状の屋根に設置した方がガルバリウム屋根のメリットを発揮できるのでおすすめです。
ハイブリッド屋根
ハイブリッド屋根は災害に強い屋根と言われていて、耐用年数は50年ほど。材質としては、ガルバリウム鋼板に石の粒を焼き付けて軽量且つ長持ちな屋根材を実現しています。ただ、固定する部品が劣化する可能性もあるので、定期的に点検をしてなるべく損害を起こさないように工夫することも大切です。
トタン屋根
トタン屋根は安価な金属屋根材です。一昔前の一軒家などに広く普及していましたが、現在はトタン屋根から別の屋根材に変える方も多くいます。耐用年数は10年と言われていますが、塗装すれば寿命を伸ばすことは可能。
ただ、塗装にかかる費用も高額になるため、多くの方は葺き替え工事をします。目安としてはトタン屋根が全体的に赤みを帯びていた場合は葺き替え工事の時期と見て良いでしょう。
屋根の葺き替えが必要かチェックするポイント
屋根の葺き替えをしようと検討されている方は、どの部分をチェックすれば葺き替えをする時期なのかわからないという方もいるはず。そこで、ここからは屋根の葺き替えが必要かチェックするポイントを3つ紹介していきます。
これから紹介する内容に該当すれば、葺き替えを検討してください。それでは、それぞれ詳しく紹介していきます。
どれくらいの期間メンテナンスをしていないか
まずは、自宅の屋根がどのぐらいの期間でメンテナンスをしていないか把握しましょう。20年以上メンテナンスをしていないのであればどこか損傷をしている可能性があるので、早めに葺き替えを検討してください。
また、屋根も経年劣化するため、何もなさそうに見えても急に不具合を起こしてしまうかもしれません。なので、20年以上メンテナンスをしていないのであれば一度業者に相談をしてどこかに不具合がないか早めに相談すると良いでしょう。
屋根の状態
次に、屋根の状態も確認しましょう。屋根がひび割れていたり変形している箇所があったりと、物理的な損傷が複数見受けられる場合は葺き替えの時期です。また、家の内部から確認することも大切なチェックポイント。
天井に雨染みやカビっぽい状態が出来上がっている場合は屋根が劣化している可能性があります。なので、内部と外部で屋根の状態を確認して少しでも違和感を感じるようであれば業者に相談して一度見てもらうと良いでしょう。
風が吹くと屋根から変な音がする
強風の際に屋根から変な音がする場合も要注意です。この場合は、屋根のどこかに隙間があったり破損していたりと、どこかしらに不具合が起きているかもしれません。
一部分であれば補修で済みますが、何箇所か不具合が見つかると屋根の葺き替え工事が必要になります。また、一部分の補修でよかったものがそこから損傷が広がる可能性もあるため、異音を感じたらなるべく早めに業者に相談しましょう。
屋根の葺き替え工事の工程
では、実際に屋根の葺き替え工事を行う場合はどのような工程で進めるのか紹介します。具体的には以下の順番で葺き替え工事を行うことになりますが、天候によっては工事の期間が長引く可能性もあるので注意してください。
なので、葺き替え工事を依頼する場合の大まかなイメージをここで掴んでおくことをおすすめします。ぜひ、参考にしてください。
足場の組み立て(1日目)
屋根の葺き替え工事は、基本的に足場の組み立てから入ります。この作業はだいたい半日で終わることがほとんど。
現場の人数としては2人から4人ほどで、足場組立職人と屋根職人は異なるケースが多いです。
既存の屋根を撤去する(1〜3日目)
足場を組み立てた後は、既存の屋根を撤去する作業に入ります。この作業にかかる時間は、だいたい1日〜3日ほど。
屋根の面積が大きいほど時間がかかると思っておきましょう。屋根の撤去作業は、20年前はトラックの荷台に既存の屋根を積んでいましたが、現在は電動リフトを屋根に立て掛けて地上に剥がした屋根を降ろしています。
下地修繕(3〜4日目)
次に、下地修繕という屋根の歪みを正す作業をします。下地修繕を行わずに新しい屋根を取り付けると、数年後に雨漏りが生じるかもしれません。なので、下地修繕は絶対に行いましょう。
下地修繕は、一度屋根の下をフラットな状態にしてから新しい屋根を取り付けなければなりません。中には下地修繕を行わない悪徳業者がいますが、疑問に思ったらこのことを指摘してみてください。
野地板の設置(4〜5日目)
下地修繕が終わると、屋根を構造的に支えるものとして野地板を設置します。この野地板は葺き替え工事と同時に行うことが多く、野地板がしっかりしていないと屋根が強風で損傷しやすくなります。野地板の設置に関しては、古い野地板の上に増し張りする業者が多いです。
防水シートの設置(5〜6日目)
次に、防水シートの設置作業を行います。防水シートは、その名の通り雨漏りを防いでくれるもの。これの貼り付けはタッカーと言われる器具で貼り付けます。
最近は防水シートを貼り付ける際に野地板を傷つけないように粘着シートを使う業者が増えてきました。もし防水シートを貼る際は、できるだけ防水性が高いものを選んでおくと後に雨漏りから長く守ってくれるため安心できるでしょう。
新しい屋根の設置(6〜7日目)
下地修繕、野地板の設置、防水シートの貼り付けが完了したら、いよいよ新しい屋根の設置になります。新しい屋根を設置する際は、なるべく耐久性に優れたもので費用対効果が高いものを設置するようにしましょう。また、屋根の種類もいくつかあるため予め決めておくとスムーズです。
調整、手直し、足場解体、清掃等(7〜8日目)
新しい屋根を取り付けた後は最終調整に入ります。調整をして問題があれば手直しをして、問題がなければ足場解体や清掃。ここまでの流れにかかる日数がだいたい7〜8日間ほどです。
以上が屋根の葺き替え工事の大雑把な流れとなります。ただ、先程お伝えしたように工事の期間は長引く可能性もあるので注意してください。
屋根の葺き替え工事に出る補助金・助成金について
屋根の葺き替え工事をする際は、目的によっては補助金が出る場合があります。災害による損傷であれば屋根の葺き替え工事が正当な目的として認められる可能性が’あるでしょう。
ただ、補助金が出る条件は各市町村の自治体によって異なるため、気になる方は自分が住んでいる地域の自治体に確認してみてください。補助金を受給する際の条件でよく見られるものは以下の4つです。
- 居住のために必要なリフォームであること
- まだ工事が始まっていないこと(着工前)
- 税金を納付していること
- 過去に同様の補助金を受給していないこと
上記の条件に引っかからなければ、一度自治体の方に相談してみて補助金を受けられそうか確認しましょう。
屋根の葺き替え工事は火災保険が適用される可能性がある
屋根の葺き替え工事には場合によっては補助金が下りる可能性があることを紹介しましたが、実は火災保険が適用される可能性もあります。一軒家に住まわれている方の多くは火災保険に加入しているはず。ですが、火災保険が適用されるかどうか自分で判断できる方は多くありません。
火災保険を適用させるためには、3つの条件を満たす必要があります。全ての条件を満たしていないと火災保険は適用されないので注意してください。そこで、ここからは屋根の葺き替え工事に火災保険が適用されるための3つの条件を紹介していきます。ぜひ、自宅の屋根の状態と照らし合わせてみてください。
経年劣化ではなく火災保険の補償対象になる被害での破損
火災保険を適用させる条件の1つ目が、経年劣化ではなく火災保険の補償対象で破損したということです。火災保険が適用できる例としては、台風などの強風で被害を受けた場合など。この場合は風災だと認められて、葺き替え工事をする際に保険金を受け取れる対象になる可能性があります。
ただ、経年劣化や地震での被害と判断されると保険金を受け取ることはできないので注意してください。なので、一度業者に見てもらって火災保険が適用できそうか相談することをおすすめします。
工事費用が20万円以上かかる
火災保険を適用させる条件の2つ目は、工事費用に20万円以上かかるということ。自然災害の被害による破損で工事費用が20万円以上かかる場合は、火災保険が適用される可能性があります。
なので、20万円以下の場合は自費での修理になるので注意しましょう。ただ、そうは言っても屋根の葺き替え工事をする際は修理費用と仮設足場の費用でだいたいのケースは20万円以上になることが多いので安心してください。
屋根が破損して3年以内の請求
火災保険を適用させる条件の3つ目が、破損してから3年以内に請求していること。火災保険の請求期限は、災害で屋根が破損してから3年以内です。
3年を過ぎてしまうと火災保険が適用できなくなるので注意してください。また、3年以内の申請とは言っても時間が経つにつれて自然災害による破損であることが認められにくくなります。なので、なるべく早めに火災保険は申請するように意識しておきましょう。
自宅の屋根の状態をチェックしてお得に葺き替え工事をしよう
いかがだったでしょうか。屋根の葺き替え工事は高額な費用がかかりますが、自治体の補助金や火災保険を適用することでお得に修理できます。ただ、必ずしも補助金が受け取れたり火災保険を適用できたりするわけではないので注意してください。
事前に必ず屋根の状態をチェックして自然災害によるものなのか経年劣化なのか業者と相談しましょう。葺き替え工事は少々面倒な部分はありますが、新しい屋根に替えると気持ちもリフレッシュできるものです。屋根の修理を検討されている方は、ぜひ葺き替え工事をしましょう。