2021.09.14 | 火災保険
火災保険は重複加入すればもらえる保険金が増える?重複に関する注意点やQ&Aを紹介

今回の記事では、火災保険は重複加入すればもらえる保険金は増える?という疑問についてお答えします。手厚い補償にするために火災保険に重複加入したいと検討する方もいるかもしれません。
しかし、他社の保険に重複加入をすると保険料が増えるばかりではなく、結果的にデメリットになる可能性もあります。特に、重複加入をすればもらえる保険金が増えるはず、と考えている方は注意してください。
また、火災保険の重複加入は賃貸物件にお住まいの方にも当てはまる内容です。火災保険の重複加入すること自体は有効になるケースもあるため、必ずしもNGということはありません。大事なことは、正しい火災保険の知識を持っておくこと。
そこで、本記事では火災保険の重複加入に関する注意点やQ&Aについても紹介していきます。ぜひ、正しい保険の知識を持った上で重複加入を検討しましょう。
Contents
火災保険は重複加入しても大丈夫?
まずは、火災保険は重複加入しても大丈夫なのかという疑問について解説していきます。結論からいえば、火災保険に重複加入しても問題はありません。建物や家財に対して二重契約を結ぶことは決して不可能ではなく、実際に重複加入をする人もいます。
ただし、火災保険を重複加入をするには条件や義務があることを把握しておかなければなりません。また、火災保険を重複加入すれば補償が手厚くなるイメージを持っている方も注意が必要です。これらについては、後ほど詳しく紹介していきます。
火災保険を重複加入して二重請求すると詐欺になる?
「二重請求すれば2倍の保険金が受け取れるのでは」と考えてしまうものですが、実際には不可能です。一つの損失に対して一社の保険会社から支払われるため、複数の保険金を受け取ることはできません。二重請求は、場合によっては保険金詐欺になる可能性もあるので注意してください。
保険金の二重受け取りは不当請求と見なされ、いわゆる保険金詐欺の行為に当たります。もし火災保険の不正請求がバレれば詐欺罪で逮捕されてしまい、留置所で過ごさなければならず、社会的立場を失ってしまいます。
そんなつもりはなくても、二重請求を行う際には十分な注意を払わなければなりません。その理由について以下で詳しくお伝えします。
火災保険の重複は告知義務があるためバレる
保険金を受取る際に保険会社への告知義務があり、もし二重請求がバレれば不当請求とみなされます。「言わなければきっとバレない」などと安易に考えてしまうのは危険です。最悪の場合、罪に問われてしまうので絶対に行わないでください。
重複加入する際には保険会社に対して説明をする告知義務があります。また、重複加入が有効になる一定の条件についても把握することが重要です。
重複加入が有効になる場合もある
重複加入が有効になるのは、あくまでも保険金を補う場合のみ。例えば、現在加入している火災保険では補償上限額が1000万円なので足りない場合、地震災害に対する補償がない場合に重複加入で補うことができます。
複数の火災保険に加入すると最大5000万円まで補償上限額をアップさせることができますが、あくまでも補助のためにしか有効しません。
火災保険を重複加入する際の注意点
ここからは、火災保険を重複加入する際の注意点を紹介していきます。火災保険への重複加入をすることは可能ですが、事前に知っておきたいデメリットがいくつかあります。
特に「重複加入した方がお得」というイメージを持っている方は要注意。ここで、しっかりと注意点を把握しておいてください。火災保険を重複加入する際の3つの注意点を以下にまとめました。
火災保険重複の注意点1:保険料の支払いが増える
忘れてはならないのが重複加入による保険料の支払額が増えるということ。つい火災保険の補償ばかりに注目してしまいがちですが、契約数が増えるだけ支払額も上がってしまいます。
手厚い補償を求めるほど保険料が高くなるのは避けられません。重複加入する前に、本当にそれだけの保険料を支払う価値があるのか十分比較検討する必要はあるでしょう。
火災保険重複の注意点2:請求する際の手間が倍かかる
万が一の被災に遭った際に保険金を請求しようとしても、重複加入の場合は実際に支払われるまで時間を有してしまいます。重複加入をしている場合、損害に対していくらの保険金を支払うか保険会社同士で話し合わなければなりません。
複数の火災保険へ手続きをする手間を含めて通常より倍の時間がかかってしまい、いち早く修復したくても取り掛かれない可能性があります。
火災保険重複の注意点3:もらえる保険金が増えるわけではない
注意したいのが、火災保険に加入する数だけ保険金が倍増することはないという点です。先ほどお伝えしたように、火災保険に重複加入をしても1つの損害に対して1つの損害額しか支払われません。
つまり、火災保険に重複加入しても大きなメリットに繋がることがなく、補償内容をしっかり把握しておかないとかえって損になる可能性があります。もし「保険金が増える」と語る業者が近寄ってきても契約してはいけません。思わぬ詐欺行為に巻き込まれないよう注意してください。
火災保険の重複に関するQ&A
ここでは、火災保険の重複加入に関するよくあるQ&Aをまとめました。火災保険の補償や手続き内容は専門的な知識が問われるため、素人判断で重複加入をすることはおすすめできません。
また、簡易保険に加入している方や賃貸住宅にお住まいの方も予め確認しておきたい事項がいくつかあります。補償内容によっては自動車保険と被るケースもあるので、現在加入している保険の内容と照らし合わせながら重複加入を検討しましょう。
重複加入によって保険料が高くなっている方も、今までより安い保険料で手厚い補償にならないかぜひチェックしてください。
Q1:簡易保険と火災保険を重複加入している場合の災害見舞制度はどうなる?
A:災害見舞金を二重請求することはできません。
災害見舞制度は、火災や自然災害により建物や家財が被害を受けた加入者にたいして”見舞金”が支払われるもの。火災保険の場合は”臨時費用補償特約”と呼ばれ、保険金よりも早く見舞金が支払われる便利な補償です。
もし簡易保険と火災保険へ重複加入している場合は、一方にしか見舞金を請求することができません。知らずに二重請求してしまうと保険金詐欺と見なされてしまうため注意が必要です。
現在簡易保険に加入している方が火災保険へ重複加入をするなら、補償内容をくまなく照らし合わせた上で足りない部分のみを補うようにします。ただ、簡易保険と火災保険に重複加入しても受け取れる保険金が増えることはなく、手続きも二度手間となり支払う保険料が増えてしまうだけです。メリットはほぼないため、重複加入はおすすめできません。
Q2:個人賠償が自動車保険と火災保険で重複している場合は?
A:個人賠償が重複している場合は今すぐ見直しを。
自動車保険の個人賠償責任特約(自動車賠償特約など)に加入しながら火災保険に重複加入する際には、どちらか一方へ付帯するようにしましょう。一般的な個人賠償特約の補償の対象者は、加入者とその家族となっています。
すでに補償されている上で火災保険などの個人賠償を付帯しても、補償が手厚くなる訳ではないです。保険料の負担が増えてしまうだけでメリットはなく、もちろん二重請求をすることはできません。
火災保険のみならず2台目の車に対して自動車保険へ加入する際にも、個人賠償が重複しないよう内容を照らし合わせてから手続きを行ってください。
Q3:賃貸の火災保険でも重複が起こる可能性はある?
A:賃貸でも重複しやすいので注意が必要です。
特に引越ししたばかりの方は火災保険が重複しやすいので、前回加入した火災保険の内容を改めて確認してみましょう。火災保険は一般的に2年更新となることが多く、契約期間中は補償が続いています。
引越しをする際には火災保険の契約期間を確認を行い、その旨を不動産会社へ伝えてください。ちなみに、賃貸に住む場合でも火災保険は自分で選ぶことは可能です。自分で契約を結び、契約更新も行う手間はありますが、不動産会社が薦める火災保険で補償が足りない場合はぜひ検討してみましょう。
Q4:県民共済(火災共済)と火災保険で重複加入している場合は?
A:保険料のムダになる可能性があるので見直しを行いましょう。
火災共済は、被災時に火災保険から保険金が支払われると受け取ることができません。そもそも県民共済などの火災共済とは、組合員同士で万が一の損害を補い合うというもの。地域や特定の職業の人が加入をすることが多く、手頃な掛け金で万が一に備えることができます。
火災共済も火災に対して補償をする点は火災保険と同じですが、あくまでも非営利団体である点が火災保険と決定的に異なります。非営利である火災共済は剰余がある際には辺戻金がありますが、火災保険はありません。
保険料は火災保険の方が割高ですが、火災以外の風災や水災など幅広い自然災害に対して補償されます。補償内容が異なる場合のみ重複加入をする意味をもたらしますが、もし内容が被っているならどちらか1つにまとめることをおすすめします。
火災保険は他社で重複加入するのではなく1社に絞ることがおすすめ
いかがだったでしょうか。これから火災保険へ加入する方は、すでに契約している他社の補償内容を必ずチェックしましょう。火災保険は重複加入しても保険金が増えることはなく、それどころか保険金の申請に二度手間がかかります。
他社と重複加入をして補償を補うことは可能ではありますが、それならば火災保険の特約を付帯することをまずは検討してみてください。火災保険を重複加入しても保険料が高くなるだけなのでで、さほどメリットはありません。なので、火災保険はむやみに重複加入するのではなく1社に絞り、万が一の際に備えることをおすすめします。