2021.08.22 | 火災保険
【保存版】経年劣化は火災保険の対象外?火災保険が適用になる雨漏りや屋根の被害を解説!

建物の損害を修理するには、想像以上にお金がかかるものです。そんな突然の出費を保険金でまかなえると助かりませんか。
建物の被害の原因が経年劣化の場合、火災保険は適用されません。しかし、雨漏りや屋根の被害は経年劣化では起こりにくく、風災が原因と判断された場合、保険金を受け取れることをご存知でしょうか?
火災保険が適用されるケースがあるということを知り、まずは保険会社に相談してみましょう。保険の加入内容や被害状況によっては、補償を受けることができます。「築年数が長いから」と経年劣化が原因と判断して適用されないと諦めずに、保険金を利用して修理しましょう。
Contents
経年劣化による建物の修復費用は、火災保険の対象になる?
経年劣化による建物の修理費用は、火災保険の対象になりません。火災保険は火災や風災、雪災など予測できない事態で受けた被害を補償する保険です。したがって、建物の経年劣化は予測できない被害ではないため、補償を受けられません。
しかし、雨漏りや屋根の破損は経年劣化では起こりにくいため、風災被害として適用される可能性があります。築年数が長いからと言って、一概に「建物の破損原因は経年劣化」と言い切れません。
屋根の破損や雨漏りは火災保険の対象になることが多い
経年劣化では起こりにくい屋根の破損や雨漏りは風災の被害と認定され、火災保険の対象になることが多いです。
築年数が経っている建物だからと言って、屋根が突然破損したり雨漏りしたりすることはほぼありえません。台風や大雪による影響が積み重なったことで、屋根や外壁に負担がかかり、破損や雨漏りが起こるケースがほとんどです。
しかし、屋根破損が経年劣化か風災被害によるものかは、素人では判断できません。「経年劣化によるものだ」と判断せずに、火災保険申請の専門業者に調査を依頼することがおすすめです。
実際は保険金を受け取れる状況だったのに、自己判断で保険の申請をしないのはもったいないので、保険会社に相談しましょう。
火災保険が適用になるケース
自然災害による屋根の破損や雨漏りは、火災保険が適用されます。原因になり得る自然災害は以下の3種類です。
- 風災
- 雪災
- 雹災(ひょうさい)
それぞれ具体的にどのようなものか解説します。
風災
自然災害である「風災」による建物への被害は火災保険が適用されます。
風災とは、台風や竜巻、暴風雨などによる被害のことです。風による飛来物が屋根や外壁にぶつかったり、風の勢いで屋根材が飛ばされたりして、屋根破損や雨漏りが発生します。
風災による雨漏りや屋根破損の修理は火災保険の対象です。
雪
風災と同様に自然災害である「雪災」による建物の屋根や外壁の被害は火災保険が適用されます。
雪災とは、降雪や豪雪、雪崩による被害を指します。積もった雪の重さで屋根が破損し雨漏りが発生することがあります。雪災によって破損した屋根や外壁などは保険金で修理可能です。
雹災
自然災害のひとつである「雹災(ひょうさい)」による建物への被害は火災保険の対象です。
雹災とは、雹による被害のことを指します。雹とは、積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊のことです。直径50mmの雹であれば、時速100キロを超える速度で落下してくるため、屋根や窓ガラスを破壊するほどの衝撃があります。
雹災による雨漏りの修理は火災保険で補償されます。
火災保険が適用にならないケース
風災や雪災、雹災などの自然災害によって屋根破損や雨漏りが起きた場合は、火災保険が適用されます。しかし、自然災害が直接の原因と認定されないような以下の場合、火災保険が適用されません。
- 経年劣化の場合
- 初期不良の場合
- リフォームによる不良の場合
それぞれ詳しく解説します。
経年劣化の場合
風災や雪災などの影響がまったくなく、経年劣化のみが原因の場合は火災保険は適用されません。
建物は時間とともに、屋根の強度が弱くなったり、外壁が色あせたりと劣化していくものです。すでに劣化している状態で、自然災害をきっかけに雨漏りが起きてしまった場合でも、直接の原因が経年劣化とされるケースもあります。
建物のメンテナンスを行わず、10年以上経っていると経年劣化と判断される可能性が高いので、定期的な建物の点検をすると安心でしょう。
初期不良の場合
建築時の初期不良によって雨漏りが起きた場合は、自然災害が原因ではないため、火災保険の補償を受けられません。
しかし、新築から10年以内の雨漏りが起きた時は、初期不良として建築会社が無償修理をしてくれる場合があります。法律によって「10年間の瑕疵担保責任補償」が定められ、販売元は責任を取らないといけないからです。もし、経営難や倒産していても、販売元の加入している保険で補償されるので安心です。
築10年以内の新築住宅で初期不良による雨漏りは、保険会社ではなく建築会社や販売元に対応してもらいましょう。
リフォームによる不良の場合
リフォームによる雨漏りや屋根破損の場合は、火災保険で補償されません。屋根や外壁の塗り替えや増築、太陽光パネルの設置など、人の手が加わったことが原因のため、火災保険の対象外です。
しかし、リフォーム会社の施工不良が原因のため、修理代を自己負担せずに業者に対応してもらえる可能性があります。打ち合わせのときに、リフォーム時に生じた損害はどうなるかをしっかり確認しましょう。
火災保険申請時の注意点
火災保険が適用されるケース、適用されないケースについて解説しましたが「火災保険の申請に慣れている」という人は少ないです。
そんな人に火災保険の申請時に注意すべき点である「申請するタイミング」と「火災保険のタイプ」の2点を解説します。申請時には思い出し、確実に保険金を受け取れるようにしましょう。
申請するタイミング
火災保険には申請期限があります。一般的に「被害を受けてから3年以内の申請」でないと認めない保険会社が多いです。保険の加入内容や保険会社によっては、申請期限が3年以内ではない場合もあるため確認が必要です。
自然災害による被害と認められても、被害を受けてから3年以上経って申請してしまうと、保険金を受け取れません。申請のタイミングには十分に注意してください。また、申請を急かすような悪徳業者もいるので、不審な連絡に対しては対応しないようにしましょう。
火災保険のタイプ
火災保険には「免責方式」と「損害額が20万円以上のタイプ」の代表的な2つのタイプがあります。保険金を受け取れるケースがそれぞれ異なり、修理金額によっては保険金が受け取れない可能性があります。
どちらの保険プランに加入しているか確認しながら「免責方式」と「損害額が20万円以上のタイプ」それぞれのポイントを把握してください。
免責方式
「免責方式」とは、加入者が被害を受けたときに自己負担する金額を事前に決めておく保険タイプです。事前に決めた負担額よりも高い金額の損害が出た場合は、損害額と負担額の差額を保険金として受け取れます(損害額-負担額=受け取れる保険金額)。
逆に負担額より損害額のほうが金額が小さい場合は、保険金を受け取れず、損害額すべて自己負担で支払わなければなりません。
例に「自己負担額を8万円」に設定した免責方式の場合を解説します。
- 受け取れるケース:損害額(28万円)-自己負担(8万円)=受け取れる保険金(20万円)
- 受け取れないケース:損害額(4万円)-自己負担(8万円)=受け取れる保険金(0円)
免責方式の保険に加入している場合は、設定した自己負担額を把握した上で保険の申請をしましょう。
損害額が20万円以上のタイプ
「損害額が20万円以上のタイプ」は、その名の通り損害額が20万円以上のケースのみ保険金を受け取れるタイプです。また、20万円以上超えた場合は、上限額までの保険金額を受け取れます。
例えば、損害額が30万円の場合、保険金の上限額が30万円であれば、30万円の保険金を受け取れます。損害額が20万円未満の18万円の場合は、1円も保険金を受け取れず、損害額すべて自己負担で支払わなければなりません。
保険金請求の流れ
火災保険は、申請期限や保険のタイプについて注意した上で申請しましょう。実際の保険金の請求の流れは以下の通りです。
- 保険会社に連絡
- 書類を確認して申請
- 損害鑑定人による現場調査
- 保険金の支払いが決定後、修理業者に依頼
まずは、保険会社に連絡しましょう。担当者から必要書類や今後の流れなど説明があります。その後「保険金請求書」や「事故内容報告書」などの書類が保険会社から届くので、記入して返送しましょう。
保険会社から派遣される損害鑑定人の現場調査を経て、申請内容が認められたら保険金が振り込まれます。雨漏りや屋根の修理を業者に依頼し、一連の流れが完了です。
雨漏りや屋根の被害は保険適用になることが多いので相談しよう
築年数が長い建物でも、雨漏りや屋根の被害は風災や雪災などの自然災害による被害と認定され、火災保険が適用されることが多いです。素人では雨漏りや屋根破損の原因を判断するのは不可能なので、経年劣化と決めつけずにまずは保険会社に相談しましょう。
また、建物の初期不良やリフォームによる不良で雨漏りや屋根の被害を受けた場合は、保険会社ではなく販売元や業者に連絡して対応してもらう必要があるので注意してください。
火災保険には申請期限やタイプがあり、把握していないと保険金を受け取れないなんてことも。本記事をきっかけに自分が加入している保険内容を確認して、被害額を自己負担せずに済むように火災保険を使いこなせるようになりましょう。